日本企業のユーザビリティ活動
ヤコブ・ニールセン博士は自動車や家電のユーザビリティのヒドさを嘆いています。
◆なぜ消費者向け製品のユーザ体験はよくないのか
http://www.usability.gr.jp/alertbox/20040315.html
『私が思うに、TiVo のユーザビリティ上の優位は Silicon Valley にあることから来ているのではないだろうか。(中略)もっと現実的に考えられる理由は、 Silicon Valley が過去 5 年間、ユーザビリティ文化と一緒に成熟の道を歩んできたからではないだろうか。(中略)家電企業は反対に、ユーザのニーズを無視してきた歴史がある。いくつかの携帯電話会社は少しユーザビリティを行っているが、ほとんどの業界でユーザビリティが行われていると耳にすることはない。』<Alertbox日本語版より引用>
このように、ニールセン博士は米国におけるIT企業のユーザビリティ文化の優位性を主張しています。
ところで、「家電」と言えば日本のお家芸の一つですが、日本の家電メーカーのユーザビリティ文化はどうなっているのでしょうか?
日本のユーザビリティ先進企業
実は、多くの日本の家電(電気)メーカーは既にユーザビリティ関連部署を持っています。例えば三菱電機の「デザイン研究所」、日立の「ヒューマンインタラクションラボ」、ソニーの「ヒューマンインタフェースラボ」などが挙げられます。
NECはNECデザインという専門の会社を持っていますし、富士通のデザイン部門では『ウェブ・アクセシビリティ指針』や『アクセシビリティ・アシスタンス』を開発し、無償で公開しています。シャープの品質保証部門や東芝のデザインセンター、日本ビクターのCS部門、松下電器のR&D部門でもユーザビリティに取り組んでいます。
さらに、日本のオフィス機器メーカーは以前からユーザビリティに積極的です。キヤノン、リコー、富士ゼロックスの3社はユーザインターフェイスデザインの標準化を検討する「CRXプロジェクト」という活動も行っています。(2000年にセイコーエプソンが参加)
ソフトウェアメーカーでもメガソフト(MIFESというエディタで有名)は「ユーザビリティ企業宣言」をしていますし、ジャストシステムも製品開発の中でユーザテストを活用しています。もちろん、マイクロソフトや日本IBMなどの外資系IT企業はユーザビリティラボを持っています。
- 三菱電機:デザイン研究所
- 日立:ヒューマンインタラクションラボ
- ソニー:使いやすさへの取り組み
- NECデザイン:ユーザビリティデザイン
- 富士通:ユニバーサルデザイン
- シャープ:CS向上への取り組み
- 東芝:デザインセンター
- 日本ビクター:顧客満足
- 松下電器の取り組みと課題(※PDFファイル)
- リコー:"使いやすさ"への取り組み
- キヤノン:定期採用情報【ユーザビリティデザイン職】
- メガソフト:ユーザビリティ企業宣言
- ジャストシステム:ラベルマイティ2開発エピソード
品質とユーザビリティ
米国シリコンバレーのIT企業は世界を席巻しています。ニールセン博士によれば、それらのIT企業は他の企業と比べてユーザビリティ文化が高いそうです。一方、日本の家電やオフィス機器は世界を席巻しています。それらの日本企業は、比較的早い時期からユーザビリティに取り組んでいます。
つまり、世界に通用する高い品質の製品にとって、ユーザビリティという要素は不可欠であると言えるのではないでしょうか。
なお、ここで紹介した企業は、ウェブ上の情報でユーザビリティ活動の内容が具体的に確認できる範囲に止めています。実際には、もっと多くの企業がユーザビリティラボを持っていたり、ユーザビリティ活動に本格的に取り組み始めています。
【参考情報】
(1)U-site:先進事例レポート
http://www.usability.gr.jp/report/index.html
様々な企業のユーザビリティラボ訪問記が読めます。上記で紹介した企業も含まれています。
(2)こんなデザインが使いやすさを生む
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4769312067/
三菱電機デザイン研究所が編集した、三菱電機における人間中心設計活動を紹介した本です。
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