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2004.06.30

ネットレイティングスの真意

ネットレイティングスはインターネット視聴率の測定で有名な調査会社です。先週、その会社から企業ホームページ利用意識調査結果が発表され、いくつかのニュースサイトで記事になりました。

◆ITmedia: 企業サイトの掲載情報、消費者の商品購入意志決定に大きく関与
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0406/22/news070.html?lc20

ネットレイティングスの調査によれば、企業ホームページの商品情報は、消費者の商品購入意志決定に大きく関与しており、逆に質の低い情報提供はビジネスチャンス喪失につながる危険性もあることがわかった。<本文より引用>

◆Internet Watch: 企業サイトの主な訪問理由は商品情報の入手
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/06/22/3597.html

ネットレイティングスは22日、消費者の商品購入意思決定には企業Webサイトに掲載されている情報が大きく関与しているとする調査結果を発表した。企業Webサイトの利用目的は商品やサービス情報の入手であり、商品購入を前提としたアクセスが主な理由であることが判明したとしている。<本文より引用>

これらの記事を読んで「なるほど、企業ウェブサイトは、商品情報をもっと分かりやすく提供すべきなんだな」と感じた方は多いと思います。しかし、発信源であるネットレイティングスの発表は、かなりニュアンスが異なっているのです。

◆ネットレイティングス: 商品購入意思決定に企業ホームページの掲載情報が大きく関与
http://www.netratings.co.jp/nrkksite.files/news06222004.htm

TV等の映像文化の中で生活している消費者は、企業ホームページの商品情報にも情報量がより多いストリーミング等による動画コンテンツの導入を求めているのだと思います。今後、企業ホームページの運営者は消費者の期待へのギャップと不足部分を最新の技術を導入することで補っていく必要があると思います。<本文より引用>

ニュースリリースのタイトルは同じような内容ですが、ネットレイティングスは結論として「動画コンテンツ」を提供すべきだと言っているのです。

こうなると素直に「なるほど」とは言えなくなります。ユーザは本当に一般企業のウェブサイトに「動画コンテンツ」を求めているのでしょうか?

サマリーの謎

ネットレイティングスのサイトで公開されている調査報告書のサマリー(PDFファイル)を読むと、確かに全体の89%が、映像による商品説明を「必要と感じている」と回答しています。(なお、調査対象はブロードバンドユーザ)

アナリストの理屈は以下の通りです。

  1. ユーザは一般企業ウェブサイトに、商品購入を前提とした情報入手を目的としてアクセスしている。
  2. 商品購入目的で企業ウェブサイトにアクセスした際に、商品情報が具体的で分かりやすければ購買意欲が上がるが、分かりづらかったり、見にくいとマイナス要因となる。
  3. サイト上の情報だけで商品購入を決定するユーザはまだ少数であり、現在のウェブサイトの商品情報には不足があるのではないかと考えられる。
  4. ユーザにとって不足したり、分かりにくい情報とは、商品の具体的な使い方や便利な使い方であった。
  5. 全体の89%が映像による商品説明を必要だと感じている。映像の良い点は商品の特徴が理解できたり、今までの商品との違いが分かることである。
  6. 故に、企業ホームページの運営者は消費者の期待へのギャップと不足部分を最新の技術(動画コンテンツ)を導入することで補っていく必要がある。

私も1から4までは理屈が通っていると思いますが、問題は5以降です。89%のユーザは、本当に、映像で商品説明してもらえば、情報が具体的で分かりやすくなり、購買意欲が上がると言っているのでしょうか?

残念ながら、報告書全編や調査票は公開されていないので、これ以上詳細は分かりません。ただ、不思議に思ったのは、分かりにくい情報として「具体的な使い方」や「便利な使い方」を挙げているのに、映像の良い点としては「商品の特徴が理解できる」「今までの商品との違いが分かる」を上位に挙げていることです。ユーザが抱える問題点と、解決策がもたらすベネフィットに差があります。

映像を提供すべきだと結論づけるのならば、情報デザインの再構築や、ウェブライティングの改善など他の解決策も提示して、それらを比較評価したデータが必要です。サマリーで提供されている情報だけでは「こじつけ」に見えます。

ところで、あなたが「映像で商品説明があれば、購買意欲が上がると思いますか?」と質問を受けたとしたら、どう答えますか。多くの人が「映像の内容による」と答えるのではないでしょうか。

動画コンテンツを提供すれば、ウェブサイトの情報の質が上がるわけではありません。もちろん、“質の高い”動画コンテンツならば効果は期待できるでしょう。しかし、そんなことは調査しなくても分かっていることです。

では、なぜネットレイティグスは調査を行ったのでしょう。きっと、何らかの理由で、一般企業に動画コンテンツ(つまりストリーミングサーバ)を導入させたくて、その理由付けの調査を行ったのでしょうね。

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参考:人机交互論: ネットレイティングスの真意 商品説明ページまできてるということは、お客さまはAIDMAのI(興味)の段階まではきてるわけで、これをどうやって... [続きを読む]

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