ショッピングカートの便利な使い途
電子商取引サイトにとってショッピングカートの放棄率は頭の痛い問題です。先日もインターネットコムにこんなニュースが出ていました。
◆オンラインショッピングは成長、ただしカート放置も増加
http://www.japan.internet.com/ecnews/20040818/11.html
カートに商品を入れただけでは購入が完了せず、商品が売れたことにはならない。オンライン小売業者にとって、これはまさに死活を分ける問題だ。<本文より引用>
少し前になりますが、同様の調査結果を他社も発表しています。
◆ショッピングカートを途中で放棄する人が67.1%~レッド・シェリフ調査
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/12/09/1415.html
ショッピングカート放棄率が高くなる要因は、インターネット習熟度、決済方法・商品受け取り方法への不安の度合い、年齢、性別、商品への知識、ライフスタイル、インターネット接続環境など、サイト利用者の特性に合った購入手続きのフローが準備されていないケースがいちばん大きいという。<本文より引用>
せっかく「購入の意志」を示してショッピングカートに商品を入れてくれたユーザが、最後に「注文ボタン」を押さずに立ち去ってしまったということは、確かに死活問題と言えそうです。これが増加傾向にあるとすれば、サイト管理者の責任問題に発展しかねません。
しかし、ショッピングカートに商品を入れたユーザは、本当に「購入の意志」があったのでしょうか?
◆Webビジネスコンサルタントのネタ帳: カートを放棄じゃなくて電卓をクリアしてるだけ
http://neta.ywcafe.net/000101.html
(前略)とりあえずショッピングカートに入れて注文の確定直前の画面までもってゆく。 送料は? ポイント還元率は? そういったことを加味して比較する最も手っ取り早い方法だからだ。 パソコン上にブラウザを2枚立ち上げてそれぞれの店の画面を比べれば値段の違いは一目瞭然。 安い店の画面の注文確定ボタンを押す。そして高い店の画面はそのまま閉じられる=カートは放棄される。<本文より引用>
ECサイトのショッピングカートは、リアルの店舗のショッピングカートのメタファ(比喩)です。「商品を入れて会計に持って行く」という機能は同じですが、そのコンテキスト(利用場面)には大きな違いがあります。
リアルの店舗では、消費者は「その店で買い物をする」意志を持ったうえで商品をカートに入れますが、オンラインのユーザは必ずしも「そのサイト」と決めているわけではありません。オンラインでは、ユーザはPCの画面上で複数のサイトをほぼ同時に閲覧できます。そして、閲覧するサイトは、検索エンジンを叩けばいくらでも見つかります。
実は、冒頭の記事の情報源であるDoubleClickの調査報告『E-commerce Site Trend Report (PDF ファイル)』にも、この点について記述があります。消費者がショッピングカートを購買比較ツールとしてよく利用するようになっていることを指摘して、その対策として、カートを放棄したユーザに対して“特典”や“値引き”を提案するカスタマイズメールを送るよう提案しています。
もちろん、ショッピングカート放棄の背景に、ユーザビリティ問題やセキュリティへの不安などがあるのは事実です。それらの問題があれば、ユーザビリティ工学などの手法を用いて改善を図るべきです。
しかし、カートを「購入プロセスの機能」と決めつけるのは「作り手」の感覚であり、間違いです。ユーザから見れば、とても便利な「買い物リスト」や「電卓」なのかもしれません。ユーザの本当の行動を理解しないまま、どんなに対策を講じたところで、それは無駄な投資に終わります。
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