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2005.01.11

詐欺師の対話設計術

2005年最初の投稿です。今年もよろしくお願いいたします。

新年早々、ネガティブな話題で恐縮ですが、詐欺が流行っています。オレオレ詐欺(現在は「振り込め詐欺」)の年間被害額は200億円らしいので、もはや一大産業と言っても過言ではありません。これまでにも、マルチ商法、霊感商法、結婚詐欺など様々な手口がニュースを賑わしてきました。

最近、私の知っている複数の人から、ある詐欺の手口を聞きました。(私にとっては新手ですが、実は使い古された手法かもしれません。)被害者は、いずれもマスター1人で店を切り盛りしている小規模な飲食店です。詐欺師と被害者の“対話”はおおよそ以下のようになります。

  1. 詐欺師は「来週、宴会をやりたい」と突然来店する。(なお、詐欺師は他に客がいない時に来る。)
  2. 詐欺師は宴会の打ち合わせをする。
  3. 詐欺師は打ち合わせを終えると、いったん退店する。その際に、店主に打ち合わせした内容と店の電話番号を紙に書かせて、それを持ち帰る。
  4. 20~30分すると、「財布(または現金。1万円くらいが相場)を落とした。さっきの紙も一緒に落としたので、もう1度書いて欲しい」と言って、詐欺師はもう1度店に現れる。
  5. 店主がもう1度メモを書いていると、詐欺師は「今から○○まで行かないといけない」と困っている様子を見せる。
  6. 店主が同情して「ちょっと(お金を)貸しましょうか?」と聞く。
  7. 詐欺師は「5千円くらい貸してもらえないかな。来週、(宴会の時に)返すから。」と答える。
  8. 店主が現金を渡すと詐欺が成功する。

詐欺師は金銭欲や虚栄心といった人間の“ココロの隙間”につけ込んできますが、この詐欺の上手いところは、適度に「欲」と「同情」の両方を感情を利用している点です。

詐欺師は、まず「宴会を予約」するという商行為を完結しています。これによって、被害者と詐欺師の間には「店と客」の関係が構築されています。そして、この客(詐欺師)は「数万円」レベルの売り上げをもたらしてくれると期待できます。小規模な飲食店にとって、これは結構大切なお客さんです。

そして、この大切なお客さんが目の前でトラブルに見舞われます。

店主は見捨てることも出来ますが、そうすると、この大切なお客さんとの関係にヒビが入る危険があります。もしかすると、お客さんは機嫌を損ねて、予約を取り消してしまうかもしれません。それに、目の前で人が困っていれば、何か手助けをしたいと思うのは、人間の自然な感情です。

普通ならば、そんな時は交通費として千円程度渡すだけだと思いますが、この場合は、「来週の数万円」という“担保”があるように錯覚して、被害者はつい5千円を渡してしまうのです。

ただ、これは「詐欺」と言えるかどうか分かりません。そもそも借用書がないので、店主がお金を貸した証拠はありませんし、たとえ証拠があっても、詐欺師が借りた金を返す意志がないことを証明できないからです。もし、街中で詐欺師を見つけて捕まえても、「すみません、忘れてました。」と言ってその場で返金されれば、少なくとも詐欺罪には問えないのではないかと思います。この手口は、搾取できる金額が数千円と少額ですが、詐欺師にとってリスクの少ない仕事と言えるでしょう。

ところで、私たちインターフェイス設計に携わる者が“詐欺”から学ぶことは、何かあるのでしょうか?

上記のスクリプトを一覧すれば、詐欺であることは明白です。しかし、1ステップずつの対話は、それほど怪しい状況ではありません。つまり、個々の対話は正しくても最後のゴールは正しくないという状況が、対話設計では起こりうるのです。(なお、不正なゴールに強引に誘導するには、どうしても、多少無理な対話が発生します。上記ではステップ4と7がちょっと不自然ですね。)

騙された店主の人たちも、少し時間を置いて冷静に対話を再現してみると、対話全体としての不自然さに気付いたのですが、その時には詐欺師の姿は見当たらなくなっていたのでした。

皆さんも、お気を付けください。

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人机交互論様よりトラバ 詐欺師の対話設計術より しかし、「個々の対話は正しくても最後のゴールは正しくない」 って、まさに「木を見て森を見ず」って話... [続きを読む]

受信: 2005.01.13 21:16

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「ちょっと千円だけ」というのが「すんちゃくさぎ」ですけれども、ふらふらと流れていった人机交互論さんの所に詐欺師の対話設計術http://allnight.coc... [続きを読む]

受信: 2005.01.18 16:05

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