調査票デザインの原則
皆さん、風邪をひいていませんか? 私たちのオフィスでも大流行しており、私も数年ぶりに本格的に寝込みました。(ただ、ちょうどレポート作成と重なってしまい、“寝込み”ながら書いていましたが。。。)
病み上がりなので、軽めの話題です。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構から『インターネット調査は社会調査に利用できるか』と題した研究報告書が発行されました。
結論はちょっとショッキングなもので、従来型調査(訪問面接)とインターネット調査では、多くの項目で結果は有意に異なり、肯定的な回答と否定的な回答の比率が逆転するという深刻な差異もありました。現状では、インターネット調査の結果は統計調査としての代表性に問題があり、少なくとも世論調査などの社会調査には適さないと言えそうです。
この報告書は400ページ近い大作で、上記の研究結果だけでなく、先行調査やアンケート調査の手法に関する解説も豊富で、社会調査法のテキストとして読むこともできます。その中に、補足情報として「調査票デザインの原則」が掲載(P243)されていました。この原則は文部科学省統計数理研究所の大隅昇氏などによって提唱されているようです。
この原則をインターフェイス設計のガイドライン(ヒューリスティックス)と照らし合わせて、私なりに検証してみました。
- Welcome Screenを設ける
- 「システムと実世界の調和」という原則に当てはまるので妥当。
- 第1問は1スクリーン、すべての回答者が容易に理解できるもの
- インターフェイス原則として第1問だけ難易度を下げる理由はない。ただし調査テクニックとしては妥当と思う。
- 従来の紙による質問紙に似たフォーマット
- 従来の紙の調査票では、矩形で囲ったり、下線や矢印を使うことが多いので、それをウェブのインターフェイスで再現した方がよいとは言えない。
- 1行は短く
- ウェブではユーザは「読まずにスキャンする」ので、文章を短くするというガイドラインは妥当。
- 必要な操作の説明
- 「記憶しなくても、見ればわかるように」という原則に当てはまるので妥当。
- 操作の説明は質問ごとに(冒頭一括は×)
- 「記憶しなくても、見ればわかるように」という原則に当てはまるので妥当。
- 回答の強制はしない(答えなければ次に進めないのは×)
- 「ユーザコントロールと自由度」という原則に当てはまるので妥当。
- 分岐が必要なとき以外はスクロールタイプを
- スライド形式はページの読み込み回数が多くなってしまうが、長尺のスクロールタイプも画面のスクロールが煩雑になる。現状では一長一短ではないか。
- 1つの設問は1つのスクリーンに収まるように
- ユーザの環境によって画面の広さは異なる。基準(例えばSVGA)を決める必要がある。
- あとどれくらいで調査が終了するかが分かるように
- 「システム状態の視認性」という原則に当てはまるので妥当。
- 「あてはまるものすべて」や自由記述には気をつけること
- 「測定上の問題が知られている」との但し書きがあるので、調査テクニックとして妥当。
ところで、インターネット調査の手軽さが、安易な調査設計につながっている面も否定できないと思います。ユーザにとって意味不明の選択肢(社内用語など)を提示したり、あからさまな誘導質問を行うのでは、どんなにインターフェイスを工夫しても、有効なデータは収集できません。
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